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ベンゾジアゼピンの依存

更新日:2023年3月27日

このページについて:ベンゾジアゼピン系の抗不安薬、睡眠薬の持つ依存性などの問題点、副作用について解説し、減量方法についても説明します。


ベンゾジアゼピン(benzodiazepine)は脳に作用する向精神薬の一種です。ベンゾ(benzo)などとも略されます。不安を取るタイプと、睡眠を促すタイプに大別されます。筋肉の緊張をとったり、てんかん(意識を失ったり、けいれんしたりする症状)を止める作用もあります。即効性があり、便利な薬ではあるのですが、副作用という問題もあります。 ベンゾジアゼピンの副作用でよく問題になるのが、依存性です。覚せい剤ほどの強い依存性ではありませんが、お酒やタバコと同じように、やめたくてもやめられない状態になりやすいのです。依存すると、薬が切れた時に「また薬が欲しい」と強く思うようになります。このように気持ちの面で依存してしまうことを精神的依存と言います。

そのほかに身体的依存というものも生じます。体が薬に依存してしまい、薬を中断すると離脱症状が現れるのです。ベンゾジアゼピンの離脱症状は色々とあります。例えば、動悸(心臓の鼓動が早くなる)、発汗、頭痛、震え、筋肉の痛み、めまい、吐き気などです。また、不安になったり、イライラしたり、眠れなくなったりと情緒不安定になります。記憶力や集中力が落ちることもあります。ひどいと錯乱状態になったり、全身けいれんを起こしたりして、生命の危険が生じることもあります。なので、ベンゾジアゼピンを長く使っている人は、急にやめてはいけません。やめる場合は、少しずつ減らしていきます。

ベンゾジアゼピンの副作用は依存性だけではありません。集中力や記憶力の低下といった認知機能障害という副作用があり、仕事のミスを増やしてしまう、交通事故を引き起こすなどのリスクがあります。

また、自分を抑えられなくなる脱抑制という副作用もあり、衝動的になってしまいます。これはお酒に酔っ払った状態を想像してもらえると理解できると思います。軽い興奮状態になったり、暴力的になったりします。

筋肉の緊張を取る作用が悪影響をもたらすこともあります。お年寄りだと、体の力が入りにくくなり、転ぶ可能性が高まります。骨が脆い方だと、転べば骨折してしまうこともあります。 こうした害があるため、できれば必要最低限の使用にとどめたいところですが、日本ではベンゾジアゼピンが大量に処方されやすく、また、長らく漫然と処方されてしまうことが多いです。そうすると、いつしかベンゾジアゼピン依存症になってしまい、やめたくてもやめられない状態になってしまうのです。

ベンゾジアゼピン依存症とは、ベンゾジアゼピンによって生活がかなり障害されているのに、ベンゾジアゼピンをやめられない状態を指します。最近のアメリカの統計では、ベンゾジアゼピンを使っている人の1.5%がベンゾジアゼピン依存症になっているという結果が出ています。

すでにベンゾ依存に陥った方のために、オーストラリアの文献を参考にして、ベンゾジアゼピン依存症の治し方について解説します。 「ベンゾジアゼピン依存症の予防」 まずはベンゾジアゼピン依存症にならないための方法について説明します。よくベンゾジアゼピンを1ヶ月以上使うと依存症になりやすいと言われますが、この文献では3-4週間以上、ベンゾジアゼピンを使い続けると依存が生じる傾向にあると書かれています。つまり、ベンゾジアゼピンは短期間の使用にとどめるのが大事なのです。また、ジアゼパム換算で10mg以上のベンゾジアゼピンを使用すると減らしにくいと言われているので、量を多く使い過ぎないことも大事です。ジアゼパム換算とは、ベンゾジアゼピンがジアゼパム(これもベンゾジアゼピンの一種です)では何mgに相当するのか計算する方法です。例えば、ベンゾジアゼピンの一種であるアルプラゾラムの1.6mgという量は、ジアゼパムの10mgに相当します。

「効果の短いものを効果の長いものに置き換える」 ベンゾジアゼピンは色々な種類がありますが、効果の短いものほど離脱症状が出やすいです。効果の短いベンゾジアゼピンを使っている場合は、効果の長いベンゾジアゼピンに置き換えてから減らす方が、離脱症状が出にくいと言われています。

例えば、現在内服しているベンゾジアゼピンを、ジアゼパムという効果の長いタイプのベンゾジアゼピンに置き換えてから減らすという方法があります。この場合は、先ほど説明したジアゼパム換算を使います。現在内服しているベンゾジアゼピンがジアゼパム換算で何mgなのかを計算してから、同じ量に置き換えます。その上で徐々に量を減らしていきます。 「ベンゾジアゼピンは少しずつ減らす」 ベンゾジアゼピンは急にやめると離脱症状が出て危険なので、少しずつ減らしていきます。文献では最低でも10週間以上かけて少しずつ減らし、中止していくようにと書かれています。つまり、目安は3ヶ月くらいですね。もちろん、もっと長い時間がかかる場合もあります。

また、精神状態が安定している人ほどベンゾジアゼピンを減らしやすいです。逆に、精神的に不安定な時は、無理に減らさない方が良いでしょう。減らすと焦燥感が出たり、眠れなくなったりしてしまいます。薬を減らす前に、まずは気持ちを安定させることが大事です。

なお、睡眠薬や安定剤としてではなく、てんかんの治療としてベンゾジアゼピンを使っている場合は、ベンゾジアゼピンを減らすと、てんかん発作が再発することがあります。この場合は、最近のてんかん発作の頻度を確認したり、脳波検査を行ったり、他の抗てんかん薬を調整したりという別の方法が必要になりますので、ここで紹介した方法ではないと考えて下さい。

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