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双極性障害(躁うつ病、双極症)の症状と治療

更新日:4月18日


双極性障害


ここでは双極性障害の症状と治療について診療ガイドラインを参考に説明します。


うつ病を繰り返す

双極性障害(双極症)は躁うつ病とも呼ばれる精神疾患です。人によって症状は様々ですが、共通する特徴はうつ病を繰り返すことです。うつ病になって、元気になって、またうつ病になるというように、生涯にわたってうつ病を繰り返します。これは、気分の波と表現されることも多いです。


双極性障害は遺伝子の要因が強いことが分かっています(親から子に遺伝するという意味合いではなく、生まれる時に作られた遺伝子の要因が大きいという意味です)。このために生涯にわたって続く「体質」と捉えることができます。アレルギー体質などと同様に、気分が上下する体質ということです。そして、アレルギーなどと同様に治療で症状をコントロールすることができます。


双極性障害のうつ病は、普通のうつ病と治療薬が異なります。うつ病の治療薬(抗うつ薬)だけ使って双極性障害の治療薬を使わないと、気分が改善しなかったり、かえって悪化したりします。そのため、うつ病と双極性障害は、しっかりと見極める必要があります。


しかし、双極性障害によるうつ病は、普通のうつ病と見分けるのがとても難しいのです。中には、うつ病の症状と一緒に非定型症状といって、体が鉛のように重くなったり、倦怠感が強かったり、一日中眠くなったり(過眠)、食欲が増えたり(過食)することがあります。ただ、必ずしも非定型症状があるわけではなく、普通のうつ病と双極性障害によるうつ状態を見分けるのは困難と言われています。診断の決め手は現在または過去の躁状態を確認することです。


躁状態(躁病)

躁状態は躁病とも言いますが、怒りっぽくなったり、活動的になったり、よくしゃべるようになる状態を指します。これも人によって症状は様々です。目標が高くなったり、自信がわいてきたり、夜中も活動するようになったり、たくさん買い物をするようになったりします。過去にうつ病のエピソードと、躁状態のエピソードの両方があると双極性障害を疑います。


ただし、躁状態はいわば元気になるイメージなので、「調子が良い」と認識してしまう方が沢山います。その場合、躁状態を病気の症状とは思わず医師に申告しないため、躁状態の発見が遅れることがあります。このため、うつ病と間違って診断されることも少なくありません。間違えないためには、うつ病の患者さんの方から今までに躁状態の症状があったか主治医に申告してもらうしかありません。以下に躁状態の症状を列挙します。うつ病で受診される際は、今までに下記の症状が一つでも該当する場合、主治医に伝えて下さい。また、中にはうつ病の症状が出ている最中なのに躁状態の症状が混じる場合(混合性の特徴)もあります。


  • エネルギーがわいてくる。気分が高揚する。

  • 怒りっぽくなる。興奮しやすい。

  • とても活動的になる。動き回る。たくさん働く。

  • 自信がわいてくる。自分が凄いと思える。

  • 睡眠時間を削っても平気で動ける。あまり眠らなくても大丈夫。

  • たくさん話す。とめどなくしゃべる。

  • 色々なアイデアがわいてくる。たくさんの考えが思い浮かぶ。

  • 注意が散漫であちこちに気が散る。

  • 目標が高くなる。

  • お金を使いすぎる。ゲーム課金や投資に熱中する。


分類

双極性障害をⅠ型、Ⅱ型で分類する方法がありますが、それは躁状態の重症度で決まります。非常に躁状態が強いと、興奮が強くなり入院が必要になる場合があります。そのような重度の躁状態の既往があれば、Ⅰ型に分類されます。ただし、Ⅰ型であれⅡ型であれ、うつ病を繰り返す点は同じです。


なかには、躁うつ混合状態といって、躁状態とうつ病の両方がいっぺんに出てくることがあります。この場合は、激しく気分が変動し、1日のうちでも様々な症状が出てきます。


また、うつ病が続いている中に、躁うつ混合状態の症状が混じってくる場合は、混合性の特徴を伴う抑うつエピソードとか混合うつ病と呼んで、双極性障害に準じて治療することがあります。


鑑別疾患

双極性障害は、前述の通り、うつ病との鑑別が大事なのですが、その他にも、双極性障害に近い症状を呈する病気を鑑別します。実は、様々な脳の病気(脳腫瘍、多発性硬化症など)や自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)、ホルモン(内分泌)の病気(甲状腺疾患など)などが躁状態やうつ状態など双極性障害と似た症状を出すことが知られています。こうした現象は稀ですが、可能性がゼロではありません。これらは頭部MRIや血液検査、髄液検査などの検査で調べることができます。まずは、血液検査で鑑別するのが一般的です。


双極性障害の治療

双極性障害の治療は主に薬物療法になります。精神療法(心理療法)を行う場合も、基本的に薬を一緒に使います。双極性障害に有効な薬は、炭酸リチウムや、非定型抗精神病薬(ルラシドン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなど)、抗てんかん薬(ラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピンなど。てんかんの治療薬と同じです)などがありますが、その時の状態により使う薬の種類は異なります。


例えば、うつ病の時は、非定型抗精神病薬がよく使われます。双極性障害によるうつ病の際にも抗うつ薬を使うことはありますが、必ず上記の双極性障害の治療薬と一緒に使います


うつ病や躁状態の症状が良くなっても、放っておくと再発してしまいますから、症状が安定してからも治療を継続します。このように再発を予防するため、気分が安定している時も継続する治療を、維持療法と呼びます。この時に使われる代表的な薬が、炭酸リチウムです。


薬物療法で十分な効果が得られない時は、修正型電気けいれん療法という治療も有効ですが、これはかなり重症な際に限られ、双極性障害で行うことは稀です。


重度のうつ状態や躁状態になった際は、入院も考慮しなければなりませんが、基本的に、双極性障害は外来通院で治療可能な病気です。とにかく、しっかりと診断を見極めて、正しく薬を使うことが大事です。


参考文献:

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