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双極性障害とは体質


双極性障害(双極症、双極性感情障害、躁うつ病)は体質

今回は、双極性障害は体質と捉えることができるという話しを致します。


双極性障害(双極症、双極性感情障害、躁うつ病)とは、うつ状態と躁状態を繰り返す精神疾患です。躁状態とは、活発になったり、社交的になったりする状態で、この時にうつ状態が治ったと思う患者さんも多くいらっしゃいます。ただ、その後にうつ状態が再発するので、元気な状態は長くは続きません。


この双極性障害は、遺伝的な要因が大きい精神疾患です。といっても、親から子に遺伝するという単純な話ではありません。親が双極性障害でも、子供が双極性障害になる確率は10-20%程度です。遺伝子は、組み合わせによって大きく変わります。生まれる時に父親と母親の遺伝子が組み変わって新しい遺伝子ができるので、親と子の遺伝子は性質が大きく変わります。


遺伝子について評価するなら、一卵性双生児の研究がベストです。一卵性双生児は、遺伝子が全く一緒だからです。


一卵性双生児の場合、片方が双極性障害になると、もう片方が双極性障害になる確率は70-90%と非常に高くなります(参照:日本うつ病学会診療ガイドライン, 双極性障害(双極症)2023)。一卵性双生児は遺伝子が同じですから、一方が双極性障害の遺伝子を持っているのなら、もう一方も双極性障害の遺伝子を持っていることになります。つまり、双極性障害の遺伝子を持っていると、非常に高い確率で双極性障害になるわけです。こうした統計から、双極性障害になる原因は遺伝子が大きいと分かります。


双極性障害が、生まれたときに遺伝子によって発症が決まってしまうのであれば、個人の努力でどうこうできるものではありません。また一度発症すると生涯にわたって続きます。こうしたものは「体質」と理解することができます。双極性障害のガイドラインでも双極性障害は「体質的要因」と記されています。


たとえば、アレルギーなども体質として理解することができます。食べ物アレルギーなどは、基本的にはずっと続くものです。こうしたアレルギーなどと同じように、双極性障害も「体質」と捉えて、その体質とどう付き合っていくかを考えると、将来にとって有益です。


アレルギー体質の人なら、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などの内服薬を使って、うまく体質と付き合っていく人が多いでしょう。双極性障害も同じように、内服薬で症状を抑え、うまく体質と付き合っていくことができます。


また、アレルギーの人は、原因物質に近寄らないとか摂取しないなどの生活の工夫が必要になりますが、双極性障害でも、生活リズムを一定にしたり、ストレスをためこまないようにしていくなど、生活の工夫が大事です。このような生活の工夫も、体質とうまく付き合う方法です。


治療と考えると、うんざりする人も多いと思います。心の負担を軽くするためにも、体質と付き合うと捉えてみてください。

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