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心療内科・精神科に行くメリット

  • 斎藤知之
  • 6月14日
  • 読了時間: 6分

更新日:5 日前

よりどころメンタルクリニック桜木町

通院とは面倒なものですし、処方薬を忘れずに飲むのも大変です。心療内科・精神科に行くメリットが分からない方も多いと思います。


もちろん、心のつらさ、苦しみが軽くなるのは当然のメリットですが、実はそれ以外にも色々あります。私から、心療内科・精神科に行くメリットを詳しく説明させて頂きます。


なお、心の治療・メンタルヘルスの専門家は本来「精神科」で、心療内科はストレス性胃炎などの内科疾患が専門なのですが、世間では混同されているため併記しています。以下、「心療内科・精神科」=「心の治療・メンタルヘルスの専門家」とお考えください。


目次


「できない」の克服


心の病気・精神疾患は、生活や仕事の中で、症状により何らかの障害や困難が生じた場合に診断します。言い換えると、精神症状によりできないことがある時に精神疾患と診断されるわけです。


たとえば、うつ病になると、普段通りに働けなくなります。電車に乗るとパニック症状が出る場合は、怖くて電車に乗れなくなります。社交恐怖では人前に出ることができなくなります。ADHDでは、注意力が散漫になり、ミスや忘れ物が多いため、通常の仕事ができないことがあります。


心療内科・精神科で治療を受けると、精神症状の改善によりできないことを克服することができます。たとえば、


「以前のように働けるようになった」

「電車に乗れるようになった」

「人前に出られるようになった」

「ミスや忘れ物が減った」


このように、精神症状を治療することで、不可能を可能に変えることができます。


外出訓練


精神疾患により家に引きこもりがちになる人は多いです。しかし、ずっと家にいると精神的に追いつめられたり、将来に不安を感じることが増え、精神的に良くありません。また、運動不足になり、体力が減り、血圧が下がりやすくなったり、疲れやすくなったりします。


こうした状態を避けるためにも外出して歩くことが大事ですが、予定がないと外出できない方も少なくありません。心療内科・精神科に通うことで、外出する理由を作ることができます。外出の練習を外出訓練と呼ぶことがありますが、こうした練習・訓練はとても重要です。私も診療において、外出する機会を作れない方には、外に出る練習だと思って通院して下さいと言うことがあります。


ウォーキングは精神状態の改善のためにも重要です。外に出ることが少ない人ほど、通院を理由に外出した方が良いです。


再発予防


心療内科・精神科の通院には再発予防というメリットもあります。一度症状が落ち着いたとしても、再発しては大変です。病状が良くなったら、その状態を維持しなければなりません。再発予防の治療を維持療法と言いますが、これも心療内科・精神科に通院するメリットです。


なお、維持療法では、再発のおそれが無くなった段階で、薬を徐々に減らして中止します。心療内科・精神科の薬を使うと依存症になると誤解している方もいますが、正しい使い方をすれば依存症になることはなく、薬は中止できますのでご安心ください。


統合失調症や双極性障害(双極症)などのように、生涯に渡り再発のリスクが続くため維持療法を続けた方が良い精神疾患もありますが、大半の心の病気・精神疾患では一年以内に維持療法を中止します。治療の終了については、病状や疾患にもよるので、主治医と話し合い、その時の病状を評価してから決めます。


体の健康に良い


心の健康は体の健康にもつながります。心療内科・精神科の治療が体に悪いと誤解している方を時々見かけます。しかし、実際は、心療内科・精神科の治療は健康に良いというのが科学的な事実です。うつ病などの精神疾患になり、治療せずに放置しておくと、ストレスホルモンが増えたり、運動不足になったり、食生活が荒れたりするため、高血圧、糖尿病、心疾患、胃炎などになりやすくなり、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患などの持病も悪化しやすくなります。逆に、精神疾患を治療すると、こうした体の病気のリスクを減らせますし、すでに病気の方も病状が改善しやすくなります。もしも心の健康がくずれたのなら、心だけでなく体を健康にするために、様々な体の病気のリスクを減らすために、心療内科・精神科に通院するべきです。


社会保障・障害福祉の利用


精神疾患により働けない場合は、お金の心配も出てきますが、これにも心療内科・精神科の通院が大事になります。たとえば、休職中にきちんと通院していると、職場の福利厚生として傷病手当を申請することができます。退職した場合も主治医に意見書を書いてもらうことで失業手当を早めにもらう方法もあります。長期に通院する場合は、障害者雇用障害年金などの社会保障制度を利用できる場合もあります。こうした金銭保証の制度の利用には、医療機関からの書面が必要となります。医師法という法律があるため、書面は医療機関に受診しないと発行してもらえません。


また、就労支援施設(就労継続支援、就労移行支援)などの障害福祉サービスを利用すれば、働くための足がかりになります。精神疾患で治療中の場合、こうした就労支援施設の利用も可能となります。


社会復帰


精神疾患のため社会から離れて暮らす方も少なくありません。社会復帰を考えるなら、心療内科・精神科に行くメリットがあります。今まで書いてきたことを並べると分かりますが、心療内科・精神科に行くことで、できないことを克服し、外に出て、人と関わったり働いたりすることができるようになります。こうした流れこそ社会復帰に必要な事です。また、障害福祉サービスを利用して社会復帰する方法もあります。


心療内科・精神科に行くのは自分次第


最終的に、自分の行動を変えるのは自分です。誰かに強制されてもうまくいかないため、自分の意思で変えるしかありません。心療内科・精神科のメリットを利用するためには、自分の意思で通院する必要があります。しかし、恥ずかしいと思って受診をためらったり、医師への恐怖感から受診を控える方は少なくありません。これはもったいないことだと思います。


心療内科・精神科の治療は、心を安定させるだけではなく、仕事や生活のさまざまな困難を取り除いてくれます。通院は大変ですが、自分の生活にとってメリットは大きいです。一度受診してみて、嫌なら他の医療機関を変えることもできます。どこに通院するかを選ぶのは自由であり、これもまた自分次第です。精神的に困っていることがあるのなら、まずは受診してみてください。

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