横浜市精神科救急

時々、緊急入院のお問い合わせがありますので、横浜市(神奈川県)の精神科救急の仕組みについて解説します。
目次
横浜市精神科救急医療情報窓口
著しい興奮状態や錯乱状態のため精神科に早急に入院する必要がある場合、精神科病院に直接問い合わせることもできますが、ベッドの空き状況次第で待機期間が長引くこともあります。お急ぎの場合、行政が紹介してくれますので、お住まいの区福祉保健センター、精神保健福祉相談の窓口にご相談ください。この窓口は平日の8時30分~17時00分で対応しています。横浜市の区福祉保健センター・精神保健福祉相談は以下のリンクにてご確認ください。
上記窓口が閉まっている夜間・休日の時間帯は以下の番号にお電話ください。
精神科救急医療情報窓口(横浜市、神奈川県)
045-261-7070
精神科救急医療情報窓口は、精神疾患の急激な発症や病状が悪化した方に、必要に応じ、当番医療機関等を紹介する窓口です。神奈川県・横浜市・川崎市・相模原市協調体制ですので、神奈川県で横浜市以外にお住まいの方もご利用いただけます。
精神科救急とは
精神科救急についてよく知らない人も多いと思いますので、簡単に説明します。
よくある誤解として、精神科救急とは辛い気持ちをすぐに改善してくれる場所だと思うことがあります。しかし、精神的な辛さを改善するには時間がかかります。精神科救急に相談しても、すぐに辛さが和らぐことはありません。気持ちが辛いなら、まずは精神科・心療内科のクリニックに受診して、外来に通い、時間をかけて治療するのが確実な方法です。
精神科救急の大事な役割は、非常に興奮・錯乱が強く、他の方に迷惑をかける人を強制的に入院させることです。周囲と本人の安全を確保するためではありますが、一時的に社会から隔離するという意味合いもあります。他の人に危害と言っても、意図的に、故意に危害を加えるような犯罪者という意味ではありません。錯乱状態になり、現実と妄想の区別がつかなくなったり、興奮して会話すらできなくなったりするような状態が強制入院の適用となります。
また、今にも自殺しそうな人をすぐに入院させるのも精神科救急の役割です。つまり自傷行為が切迫している方ですが、これには浅いリストカットや薬の乱用などは含まれません。あくまでも死ぬか生きるかレベルの自傷行為の場合のみ精神科救急で対応します。ただし、向精神薬の多量内服で呼吸が止まりそうであったり、多量出血で血圧が低下して脳にダメージが起きそうな場合などには、たとえ精神状態が悪かったとしても身体的な救急治療が優先されます。精神科救急では身体的救急に対応していませんので、まず119にダイヤルして通常の救急車を呼び、身体的な救急治療を受けてください。
入院の同意
精神疾患の人なら簡単に強制入院させることができると誤解している人もいます。しかし、そんなはずありません。医療は本人の同意の下に行うのが大原則です。日本には精神保健福祉法という問題の多い法律があり、家族の同意による強制入院(医療保護入院)が乱発されて社会問題になっていますが、このような入院の場合でも、現実がほとんど分からないくらいまで思考能力が低下しない限り、強制入院させることはできません。現実がほとんど分からないくらいまで思考能力が低下するとは、たとえば、いま宇宙人に攻撃されていると本気で思い込むような場合などです。世の中に事実をゆがめて捉える方は沢山いますが、ここまで非現実的な、オカルト的なことを言う人は少ないと思います。ある程度、現実を理解できる能力(現実検討能力)がある場合は、本人の同意による入院(任意入院)しか認められません。つまり、本人が同意しないと入院させることはできません。
警察介入による措置入院
精神科救急は警察と連携する場合もあります。警察は自殺企図した人や、他人に暴力を振るうような人に対応してくれます。警察が駆けつけても本人の興奮が止まらず、支離滅裂な言動が見られると、警察の方から精神科救急につなぐことがあります。この場合、行政措置としての強制入院(措置入院)になることがあります。ただし、警察が来た段階で、ある程度、冷静に会話できるようになっているなら、このような入院にはなりません。また、たとえ警察対応で精神科救急を受診したとしても、その時の精神保健指定医の診察の結果、措置入院ではなく任意入院や医療保護入院という形式になる場合もあります。措置入院には人権侵害の恐れがあるので、可能な限り避ける必要があるためです。
強制入院は必要な時だけ
基本的に、人間には自由に外出する権利があります。強制入院はこの権利を奪うものですから、よほどの事情が無ければ許されません。日本は簡単に強制入院させてしまうため、最近はよく人権問題として裁判になったり、国連から批判されたりしています。人権侵害となるような入院を避けるためにも、どうしても入院せざるを得ない場合を除いて、精神科救急の利用は避けるべきです。
とはいえ、どうしてもすぐに入院させないといけない事態もあり得ます。この場合、住まいの区福祉保健センター・精神保健福祉相談にご相談ください。また、休日や夜間は、精神科救急窓口にご相談ください。