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精神疾患の障害年金

斎藤知之
精神疾患の障害年金

当院では、精神疾患の障害年金の診断書を記載しております。この障害年金についてのお問い合わせが多いので、以下にポイントをまとめました。良ければご覧ください。


なお、障害年金の詳細な情報については、年金事務所街角の年金相談センターにお問い合わせください。


障害年金のサイトのリンクは以下のとおりです。ご参照ください。


障害年金とは

重篤な精神症状が長期に続くか、何度も再発を繰り返して、生活に大きな支障がある場合、障害年金を申請できることがあります。ただし、いくら長期に精神疾患があっても、重症でなければ、年金は支給されません。


障害年金の支給については、障害認定審査医員が、主治医が記載した診断書を見つつ、国の基準やガイドライン(精神の障害に係る等級判定ガイドライン)に基づき判定しています。よく、主治医が年金の支給を判断すると誤解される方がいらっしゃいますが、実際は、行政側の担当者が判断しています。


また、判定の際の主なポイントは、自立した一人暮らしができるか将来的に働けるかです。


ひとりでの日常生活がほぼ不能の場合は1級、日常生活に著しい制限がある場合は2級、労働に大きな制限がある場合は3級です。たとえば、ご家族やヘルパーさんのサポートが無ければ自立した生活ができない状況だと、障害の等級は上がります。


就労状況については、誤解が多いのですが、単に現在無職だから年金をもらえるというわけではありません。あくまで今後も精神障害が持続または再発するために、通常の仕事ができないということが判断基準になります。


たとえば、精神症状によって通常通り働けないのではなくて、自分の意思で働かないという場合、障害年金は支給されません。また、一時的に精神的に悪くなって働けないから障害年金を申請したいという場合も、認められません。持続的または反復的に重度の症状があるというのが必須条件です。


なお、たとえ働いていても、障害者雇用就労継続支援で仕事をしている場合には、2級以上と判断されることがあります。


通院歴

障害年金の診断書には通院歴の記載が求められます。知的障害の場合を除きますが、初診日から1年半経過していないと障害年金は申請できません。通院期間については、通院先に証明を求めることになります。


現在の病状が悪くても、改善の見込みがあれば、等級が下がったり、障害年金が不支給と判定されることがあります。予後を判断する上では、しっかり通院治療していても治らない症状があることが判断の根拠になります。通院状況は考慮されてしまいますので、適切に通院していることが大事です。


年金の未納

障害年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。

  1. 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

  2. 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと


お願い

最後に、法律上、診断書には事実しか書けないこと、つまり、虚偽の記載をできないこともお伝えしておきます。時々、診断書にこう書いて欲しいと依頼されることがありますが、それが本当のことでない場合は記載できません。


また、障害年金の診断書を提出しても、行政側の判定の上で、年金が支給されない場合もあります。この場合、診断書を記載した医師が事実を書いたのであれば、その医師には何の責任もありません。障害年金の不支給については、あくまで行政側の判断ですから、診断書を記載した医師にクレームをつけるのは控えてください。


障害年金をめぐっては、カスタマー・ハラスメントのような事態や悪質な誹謗中傷が多く見受けられます。皆様のご理解のほど宜しくお願い致します。


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