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統合失調症の長期予後


統合失調症の長期予後

統合失調症とは、20歳前後に発症することが多い脳の病気です。症状は大きく三つに分かれます。その一つは陽性症状と呼ばれ、これには幻聴や妄想などが当てはまります。こうした陽性症状は統合失調症に特徴的な症状です。もう一つは陰性症状と呼ばれますが、これはうつ病などにも似た症状で、意欲が低下したり、喜怒哀楽が減り、表情が乏しくなったりします。最後の一つは認知機能障害で、これは脳の働きが遅くなったり、うまく考えられなくなる症状です。


統合失調症の治療方法は確立されており、抗精神病薬という脳のドパミン系の神経回路の働きを調整する薬を使用します。これで陽性症状は高い確率で改善します。一方で、陰性症状や認知機能障害については改善しにくい場合もあります。このように、症状によって、治療の有効性は異なります。


では、統合失調症の各症状が良くなる確率はどのくらいのものなのでしょうか?


今回は、統合失調症の陽性症状と陰性症状の予後について、20年間にわたって調べたデンマークの調査研究をご紹介します。



この研究は、373人の統合失調症の患者さんの陽性症状と陰性症状の予後を調べたものです。20年という長期にわたって調べられています。


この結果、陽性症状は最初の治療の段階では約9割の確率で改善しており、5割の人は、その後の経過もきわめて良好でした。細かい内訳と数字は以下の通りです。


  1. 治療早期に陽性症状が殆ど無くなり(寛解)その状態が維持された人:50.9%

  2. 5年以内に陽性症状は改善し維持された人:18.0%

  3. 一度陽性症状は寛解するも再発した人:10.2%

  4. 陽性症状が一度良くなったが徐々に悪化した人:11.9%

  5. 陽性症状がずっと続いた人:9.1%


もちろん、うまく改善しなかった人がいるのは事実ですが、大部分の人は、少なくとも一度は症状の改善を自覚できたようです。


一方で、陰性症状については、良い治療法がないので、最初の状態が続くという結果でした。5割ほどの方で陰性症状が続くようです。以下その内訳と数字です。


  1. 最初から陰性症状が少なく、その後も予後良好な人:51.0%

  2. 最初から陰性症状が強く、その後も陰性症状が続いた人:49.0%


やはり、陽性症状よりは、症状が改善しない人の割合が高くなってしまいます。これは、今後の統合失調症の治療を開発する上での課題でしょう。なお、陰性症状は、薬の副作用(鎮静、眠気、血圧低下)などにより強まることもあるので、注意が必要です。


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