第2世代抗精神病薬は遅発性ジスキネジアが出にくい
更新日:2023年3月27日
このページについて:最新の研究結果で第2世代抗精神病薬は第1世代抗精神病薬よりも、遅発性ジスキネジアが出にくいという結果が出たので、ご紹介します。
抗精神病薬の副作用に遅発性ジスキネジアというものがあります。抗精神病薬とは脳内のドパミン受容体の一部をブロックすることで、幻覚や妄想を抑えたり、気分を安定させる効果がある薬です。統合失調症や双極性障害、うつ病などの精神疾患の治療に用います。
抗精神病薬を長期にわたって使い続けていると、舌や口がうねうねと勝手に動くことがあります。これがジスキネジアという副作用です。抗精神病薬を使ってから数ヶ月、数年という長い時間がたってから出現するので「遅発性」ジスキネジアと呼ばれています。
遅発性ジスキネジアは治りにくい副作用なので、起こらないことが大事です。抗精神病薬には第1世代と第2世代がありますが、第2世代抗精神病薬の方が、第1世代抗精神病薬よりも遅発性ジスキネジアが出現しにくいと言われてきました。これに関して、今回は大規模な調査により、数字のデータが出ましたので、ご紹介します。
薬の効果や副作用を調査する方法として、効果的なのがランダム化比較試験というものです。これは、被験者をランダムに薬を使う人と使わない人(プラセボという偽薬を使います)に分けて調査する臨床研究です。ランダムに分けることで、薬を使う人と使わない人の偏り、差を無くすことかできます。
ご紹介する研究は、このランダム化比較試験の結果を複数集めて解析するメタ解析という手法を使っています。より多くのデータを集めるため信用性の高い結果が期待できます。
この研究の結果、一年間で遅発性ジスキネジアが出る割合は、第1世代抗精神病薬が6.5%だったのに対して、第2世代抗精神病薬が2.6%でした。約半分くらいの確率です。これは統計学的に検証しても意味のある差でしたので、偶然やたまたまでは無いようです。統計学的に第2世代抗精神病薬のほうが遅発性ジスキネジアという副作用が出にくいことが明らかになりました。
また第2世代抗精神病薬にもいくつかあるのですが、特にオランザピンとアリピプラゾールが優れていたようです。オランザピンとアリピプラゾールは、他の第2世代抗精神病薬と比較しても、遅発性ジスキネジアが少なかったという結果でした。
新しい薬の登場などにより副作用のリスクも変わるでしょうから、こういう調査は定期的に行うべきものです。今回紹介した最新の結果を参考にしてみてください。
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