うつ病の症状と治療
更新日:2023年3月27日
このページについて:うつ病の治療には色々な選択肢があります。ここでは、うつ病の症状や治療全般についてガイドラインを引用して説明します。
辛い時や悲しいことが会った時、誰だって落ち込みますよね。落ち込んだことのない人なんて、ほとんどいないでしょう。ですから、落ち込むだけで病気だ、精神疾患だということはありません。気分の落ち込みの多くは、あくまで正常な心理状態であり、病気ではないのです。一方で、病的な気分の落ち込みというものも存在し、それがうつ病という精神疾患の中核的な症状となります。このため、気分の落ち込みが通常の心理状態の範囲内にあるのか、病気というほど酷いものなのかどうかを判別するのは難しくなります。
うつ病を診断する時には国際的な基準(診断基準)を用います。うつ病の症状は、ほとんど一日中、ほとんど毎日、二週間以上の期間続くものと定義されています。普通は気持ちが落ち込んでも、毎日ずっとは続きませんから、ここが病気か正常な心理状態かを判定するポイントです。また、うつ病では気分の落ち込み以外にも、何ごとにも興味を持てなくなったり、楽しめなくなったり、眠れなくなったり、食欲が落ちたり、考えがまとまらなくなったりなど、本当に色々な症状が一緒に出てきます。頭やお腹が痛くなったりと、体に症状が出ることも珍しくありません。こうした症状は、個人差があります。同じ「うつ病」という診断でも、一人一人の症状には大きな差があります。このように、うつ病の症状は多種多様なのが特徴です。
うつ病は他の精神疾患(例えば、摂食障害やアルコール依存症など)と一緒に起きることもあります。また、他の精神疾患があたかもうつ病のように見える場合もあります。例えば、統合失調症の初期症状がうつ病に見えることもあります。また、双極性障害のうつ状態、うつ病相の症状も、うつ病とほとんど同じものです。統合失調症や双極性障害は、うつ病とは治療法が異なるため、間違えないようにしないといけません。また、内臓、免疫の病気、ホルモンの異常、脳の病気が原因でうつ病と似た症状が出ることもあります。病院で処方された薬の副作用、アルコールの副作用などがうつ病に似た症状を作ることもあります。さらに、体の異常がうつ病を引き起こすのではなく、うつ病が原因となり体が悪くなるという現象もあります。つまり、うつ病に関連する病気、病態はたくさんあり、うつ病をしっかりと評価するには多角的な視点が必要になるのです。
うつ病の治療にはいくつかの方法があります。精神療法(心理療法)としては、認知行動療法や対人関係療法などがありますが、日本では小精神療法などの短時間の精神療法が一般的です。うつ病の薬は、抗うつ薬と呼びます。抗うつ薬には副作用が少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)やミルタザピンなどの種類があります。また、副作用は少し増えますが、三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬などもうつ病の治療に用いられます。それぞれの薬は効果に大きな差はありません。しかし、個人個人で合う薬、合わない薬がありますので、自身に合う薬を見つけることが大事です。また、一部のハーブや漢方薬も、うつ病への治療効果があると言われるものがあります。その他、電気を使った治療(電気けいれん療法)や磁気を使った治療(経頭蓋磁気刺激療法)、光を使った治療(光線療法)などの機械を用いた手法もうつ病の治療に有効です。特に電気けいれん療法の治療効果は高いことが分かっています。この電気けいれん療法は、現在は苦痛を伴わないように全身麻酔をかけて行われます。
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