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統合失調症の症状

更新日:2023年3月27日

統合失調症の症状は多様で経過とともに変わります。詳しく説明します。


前駆期


統合失調症は10代後半から30歳くらいに起きやすい精神疾患です。統合失調症は発症する前に前駆期と呼ばれる時期があり、この時期から症状が出現します。


前駆期には、わけもなく不安になる、何だか誰かから見られている気がする、物音や光に敏感になる、眠れなくなる、やる気が出なくなる、などの症状が見られます。ただし、これらは統合失調症に特徴的な症状ではありません。例えば、ちょっとしたストレスなどでも起こりうる症状です。このため、前駆期の段階で統合失調症と診断するのは困難です。また、統合失調症の前駆期では、頭が回らなくなり、学校の成績が下がったり、仕事がうまくこなせなくなったりすることも多いです。これは認知機能障害という症状で、このあとに詳しく述べます。


こうした前駆期がしばらく続いた後に、統合失調症を本格的に発症します。統合失調症の症状は、主に、陽性症状、陰性症状、認知機能障害に大別されます。


陽性症状


陽性症状には幻覚、妄想、興奮などがあり、統合失調症の発症初期に目立ちます。このうち、幻覚、妄想は精神病症状とも呼びます。幻覚には幻視や幻聴など様々なものがありますが、統合失調症では幻聴が多いです。実際にはいない人の声が聞こえたり、その声が自分に話しかけてきたり命令してきたりして、この幻聴と会話する場合もあります。本人は誰かと話しているつもりなのですが、周囲から見ると一人でぶつぶつ言っているだけに見えます。


妄想はありもしないことを現実にあると思い込む症状です。統合失調症の妄想には、誰かが自分を監視していると思い込む注察妄想や、誰かが自分を攻撃すると思い込む被害妄想、本来は関係ない事柄を関係あると思い込んでしまう関係妄想などがあります。日常的な意味での妄想は、想像や空想などの意味を含みますが、病的な妄想は意味が少し違います。統合失調症の妄想は、絶対に現実にない事柄を本気で信じ込んでしまう症状で、周囲の人が否定しても聞き入れません。


幻覚や妄想などの精神病症状は、現実を正しく認識する能力の障害とも言えます。これを現実検討能力と言いますが、統合失調症になると現実検討能力が低下します。この結果、自分が病気ではないと思い込み、治療を拒否することも珍しくありません。自分を客観的に見ることもできなくなるのです。


陰性症状


統合失調症の陰性症状は、本来あるはずの感情や行動が乏しくなる症状です。陰性症状には、喜怒哀楽などの様々な感情が乏しくなる(感情鈍麻)、表情や声の抑揚が乏しくなる(感情表出の欠如)、何もする気がせず家の中に引きこもる(無為自閉)などの症状があります。うつ病にも似ていますが、うつ病は辛い、悲しいという感情が強いのに対し、陰性症状は辛い、悲しいという感情まで乏しくなるという違いがあります。


認知機能障害


認知機能障害は、知能が低下するような症状のことで、認知症の症状と同じ概念です。ただ、統合失調症の認知機能障害では物忘れなどの記憶障害は目立ちません。注意力や集中力が低下する注意障害、すらすらと言葉を書いたりしゃべったりすることが難しくなる言語機能の障害、物事を順序立てて考えたり計画したりすることができなくなる遂行機能障害などが多くなります。


認知機能障害があると仕事が覚えられなくなったりミスが増えたりするため、仕事を続けたり、就職することが難しくなります。


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