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心療内科・精神科の選び方

  • 斎藤知之
  • 5月29日
  • 読了時間: 5分

更新日:5 日前

心療内科・精神科の選び方

地域によっては心療内科・精神科のクリニック(メンタルクリニック、こころのクリニックなど)はたくさんあります。そうなると、どこに行けばよいのか迷われる方も少なくないと思います。


医師の私がよく耳にする患者様の苦情は、「受診するたびに医師が変わる」「医師に怒鳴られた」「診断を教えてくれない」「薬の説明がない」などです。このようなクリニックに受診してしまったら、転院を考えて良いと思います。患者の権利として、医療機関は自由に選択できます。


みなさまのご参考になればと思い、心療内科・精神科のクリニックの選び方について、精神科専門医の立場で私見を述べます。私が患者として心療内科、精神科を選ぶならどうするかと考え、以下にポイントを並べてみました。これらは当院だけではなく、他の心療内科、精神科を選ぶときにも役に立つと思います。


なお、心の治療・メンタルヘルスの専門家は本来「精神科」で、心療内科はストレス性胃炎などの内科疾患が専門なのですが、世間では混同されているため併記しています。以下、「心療内科・精神科」=「心の治療・メンタルヘルスの専門家」とお考えください。


選ぶポイント


気をつける点


主治医制(医師が固定)


心の治療では、医師と患者の信頼関係が大事で、この信頼関係は治療結果を左右します(これは治療同盟とも呼ばれます)。みなさまご存じのとおり、信頼関係を作るには時間がかかります。このため、毎回同じ医師が長期間にわたって診察する体制、主治医制(医師が固定)のクリニックに行くことが大事です。


話し方・態度


残念ながら、高圧的であったり、失礼だったりする医師は少なくありません。心療内科・精神科の診察では、患者側は本音やプライベートな内容を話さなければなりません。しかし、医師が高圧的で失礼だと、とてもじゃないけど本音やプライベートなことを話せません。話し方が丁寧な医師を選んだ方が良いと思います。


説明がある


インフォームド・コンセントと言いますが、医療では、医師が診断や治療について説明し、医師と患者とが合意にいたってから治療するのが原則です。何も説明しないままに投薬されたり、患者から質問してもちゃんと答えてくれない医師は、インフォームド・コンセントの原則を無視していますから、良い医師ではないでしょう。診察時間には限りがありますから、長時間の説明は難しいと思います。しかし、質問しても説明してくれない医師は変えた方が良いと思います。


診断書を断らない


医師法という法律があり、医師は正当な理由がなければ診断書の発行を断れないことになっています。しかし、医師法を守らず、診断書を拒む医師がいます。診断書には発行に日数がかかるものもありますから、ある程度の待ち時間は仕方ないと思います。しかし、診断書を書こうとすらしない場合、その医師は最低限の法律を守っていないわけですから、医師としての適格性を疑います。


通院できる日時


特に平日の昼間に働いている場合、仕事の終わりに受診できるかどうか、仕事が休みの日に通院できるかどうかが大事になります。毎回、仕事を休んで通院するのは大変です。何曜日にやっているのか、何時までやっているのか、仕事終わりに受診に間に合うかなどを事前に確認してください。


予約が取れる


心の病気、精神疾患を治療するには何ヶ月、場合によっては何年もの時間がかかります。長い間通院が必要になるのですから、通院の予約が取れるかどうかもクリニック選びのポイントになります。ただし、専門性のない医師や臨時の医師をたくさん雇用して予約を取りやすくするクリニックが増えています。こうしたクリニックは、つらいときすぐに行けるメリットがある一方で、医療の質が低い問題を抱えますから、気をつけてください。


通院しやすい距離


長く通院するには、アクセスも大事です。あまりに遠くのクリニックでは、何度も通院するのは大変です。近所でなくても、通院しやすい距離にあるクリニックを選ぶことが大事です。


こうしたポイントはどの心療内科・精神科のクリニックを選ぶ時でも大事になります。ぜひ参考にしてください。


また、以下に注意すべきポイントも掲載しておきます。


医師がコロコロと変わる


最近、診察のたびにコロコロと医師が変わるクリニックがあります。しかも、医師同士の申し送りすらありません。これでは、医師は患者側の症状や悩みを把握できませんし、情報共有が不十分となり、ミスが起こりやすくなります。上述したとおり、心療内科・精神科の診療では医師が固定の主治医制が原則です。診察のたびにコロコロと医師が変わるクリニックには行かない方が賢明です。


心療内科・精神科の専門の医師ではない


心療内科・精神科のクリニックで、内科や皮膚科などの医師が診療していることがあります。法律上は問題ないのですが、当然ながら、専門的な診断、治療を行うことはできません。こうしたクリニックに臨時で受診するなら良いかもしれませんが、長く通院する場合には、心療内科・精神科の専門の医師(メンタルヘルス専門の医師)に対応してもらった方が良いです。


虚偽のクチコミ


実際に受診していない人が星5~4のクチコミを書いているクリニックがあります。心療内科・精神科では感情的な患者様を対応するため、医師が理不尽に批判されることは珍しくありません。それにもかかわらず、ほめたたえるクチコミが何百と投稿されるのはとても不自然なことです。どれがウソなのか見極めることは難しいですが、クチコミが不自然に多いクリニックには気をつけてください。


以上となります。ご参考になれば幸いです。

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