精神科の診断の変更
- 斎藤知之
- 10月4日
- 読了時間: 2分

精神科や心療内科の診断は変わることがあります。これは当ブログでも繰り返し伝えています。精神疾患や発達障害の診断には、国際的な診断基準を用います。この診断基準では、どのような症状がどのくらいの期間にわたって続いているかというように、症状の経過によって診断します。しかし、人間の心は常に一定ではありません。メンタルの状態や精神症状は日々変わり続けています。このため、症状の経過とともに診断も変わるのです。
精神科や心療内科に受診すると、初診の時点である程度の診断名について説明があるはずです。しかし、最初の診断は、あくまでその時点での判断であり、その後の経過によっては、診断が変わります。診断が変わると、「最初の診断が誤診だったのか」「良くない診療を受けていたのか」と疑ってしまう人もいると思います。しかし、実際は逆で、正しい診療を続けているからこそ診断が変わるのです。むしろ、症状の経過が変わってきているのに、いつまでも最初の診断にこだわっている方が医学的には間違いです。
どのくらいの確率で診断が変わるのか調査した研究があるので、ここでご紹介します。
これはデンマークで行われたもので、初めて精神科を受診した、または入院した18歳以上の方の調査です。184,949人が10年間の追跡調査を受けました。診断にはICDという国際的な診断基準が用いられています。この調査では、10年間のフォローアップ期間のうち、46·9%の人が最初とは異なる診断を受けていたという結果が出ました。約半数の人の診断が変更されたのです。特に幻覚や妄想などの症状を持つ方で診断が変わりやすい傾向にあったそうです。
このように診断が変わることは統計的に見ても多いことが分かります。このため、正確な診断のためには一定期間通院して、症状の経過を医師に報告し続ける必要があります。この際に担当する医師がコロコロと変わると、症状の経過が分からず正確に診断することができません。もちろん、なかなか信頼できる医師に会えない人もいると思いますが、なるべく早くに主治医を決めて、その医師のもとに通院することがおすすめです。今までの経過を知っている医師が診断し直した方が、より正確に診断できます。

















