運動は不安やうつ症状を改善するか
更新日:2023年3月27日
運動、エクササイズが、不安障害、適応障害やうつ病などの精神疾患の治療になるかどうかを調べた論文を紹介します。
現代人は運動不足などと言われますが、適度な運動は基本的に身体に良いものです。心臓病の予防や糖尿病などの生活習慣病の治療としても、運動が良いと言われていますよね。
それでは、身体に良い運動は心にとっても良いのでしょうか。
心と身体は繋がっており、互いに影響し合う存在です。身体の健康を損なうと、心の健康を損なうリスクも高まります。逆に、身体に良いものは心にも良いことが多いです。
運動が不安障害やうつ病に良い影響をもたらすかどうかを調べた研究があります。今回は2つ紹介しましょう。
一つはメタ解析という複数の研究結果を統合する手法を用いた研究です。ここでは、6つの研究、総勢262人が集められました。対象となった人々は、不安障害かストレス関連障害(適応障害など)をわずらっています。この中で、132人が運動するグループ、130人が運動をしないグループに分けられました。
二つのグループを統計学的に比較したところ、運動するグループの方が不安症状が明らかに改善したということです。運動は身体だけでなく心にも良いということを証明する調査結果ですね。
もう一つの研究論文も、メタ解析という手法を用いています。これは、うつ病の研究で、23の研究、総勢977人が調査対象になっています。これによると、精神療法(心理療法)や抗うつ薬と比べて、運動の方が優れているという結果は出なかったそうです。
ただ、何も治療しないよりは、運動をする方がうつ症状が改善したということ。また、薬の治療だけでなく、薬の治療と運動を組み合わせる方が、うつ病の治療効果は高まったという結果が出ました。
ということで、不安症状やうつ症状には、運動は効果的なようです。
だけど、運動の習慣が無い人が、いきなり激しい運動をするのは難しいと思います。まずは軽く散歩したり、ジョギングしたり、家の中でストレッチしたりなど、軽いものから取り入れて徐々に増やしていくと良いと思います。
引用文献:
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