脳梗塞・脳出血(脳卒中)のリスク
更新日:2023年3月27日
このページについて:脳梗塞・脳出血(脳卒中)は様々な精神症状を引き起こすため精神科とも関連が深い病気です。そのリスク因子について紹介します。
脳梗塞や脳出血は、脳卒中とも呼ばれますが、ともに脳の血管の障害です。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害は、麻痺や認知症を引き起こすだけでなく、うつ病を始め様々な精神疾患を引き起こします。つまり、精神的な健康を保つために、脳の血管を守る必要があるのです。
それでは、どうしたら脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を防ぐことができるのでしょうか。これを考えるには、何が脳血管障害の原因になるのか、脳梗塞や脳出血のリスク、危険因子を知る必要があります。危険因子を知れば、危険因子を取り除くことができます。これが予防につながるわけです。
アメリカ疾病管理予防センターのサイトを見ると、脳卒中のリスクが高まる病気が書かれています。今回は、このサイトを参考に、脳卒中の危険因子である、脂質異常症、高血圧、糖尿病、心房細動について解説します。
脂質異常症:健康診断などで測定する総コレステロール値が高いと、脳梗塞のリスクが上がります。その他、 LDLコレステロールが高い、中性脂肪が高いなども良くないですし、善玉コレステロールなどと言われるHDLコレステロールは低いと良くないです。こうした脂質の異常を改善するには、まずは食事や生活習慣を変えることです。動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス(2014)によると(以下抜粋)
禁煙し、受動喫煙を回避する
過食を抑え、標準体重を維持する
肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑え、魚類、大豆製品の摂取を増やす
野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす
食塩を多く含む食品の摂取を控える(6g/日未満)
アルコールの過剰摂取を控える(25g/日以下)
有酸素運動を毎日30分以上行う
などが推奨されています。こうした生活習慣の改善は、高血圧や糖尿病など他の生活習慣病の治療にも役立つので、ぜひ知っておいて下さい。もしも生活習慣の改善で脂質異常症が良くならない場合は、薬による治療を行います。
高血圧:高血圧は脳梗塞、脳出血の主要な原因です。血圧は健康診断で測定されるため誰でも一度は測定したことがあると思います。血圧は120/80などというように、高い値/低い値で記載されます。心臓の収縮と拡張によって血圧が変わるので、高い値と低い値が測定されます。高い値の方を収縮期血圧、低い値の方を拡張期血圧と呼びます。2014年に日本高血圧学会が出したガイドラインでは、収縮期血圧が140以上か、または拡張期血圧が90以上だと高血圧と定義されています。高血圧の基準に入る人は、血圧の治療が必要です。ただし、75歳以上の高齢者だと収縮期血圧の基準値が150に緩和されます。高血圧の治療は、まずは食生活・生活習慣の改善から始まりますが、それだけだとなかなか改善しないことも多いので、降圧薬の内服も必要になってきます。
糖尿病:糖尿病も高血圧と同じく、身体中の血管をボロボロにする病気です。尿に糖と書く病ですが、診断は主に血液検査です。食事を抜いて空腹時に採血した場合、血糖値が126以上だと糖尿病の可能性が高く、食後の血糖値だと200以上であれば問題です。HbA1cという最近1-2ヶ月の血糖値を反映する値が6.5以上でも、ほぼ糖尿病と考えることができます。また、糖分を大量にとってもらい2時間後に血液検査する75gOGTTという検査で、血糖値が200以上であると糖尿病となります。糖尿病の治療もまずは食生活の改善や運動ですが、それで血糖値が下がらない場合は薬を使います。重度の糖尿病や、Ⅰ型糖尿病という少し特殊なタイプではインスリン注射により治療します。
心房細動:心房細動は心臓の鼓動が不規則になるもので、不整脈の一種です。発作的に短期間起きるものや、慢性的にずっと続くものがあります。心房細動が発生すると心臓の中で血液が固まることがあります。心臓で作られた血液の塊が脳の血管に飛ぶと、脳梗塞を起こします。これを防ぐために、血液が固まりにくくなる薬を使います。これを抗凝固療法と呼びますが、副作用として出血のリスクが問題になります。最近では出血のリスクが少ない薬も登場しています。また、心房細動の治療では脈拍をコントロールする薬も使用します。薬以外ではカテーテルを使った手術が行われることもあります。
さて、脳梗塞に繋がる病気をざっと紹介しました。こうした病気は内科的な体の病気ですが、脳梗塞を引き起こす可能性がある病気です。そして、脳梗塞になれば体の症状と心の症状が出る可能性があります。やはり、心と体は繋がってますので、体の健康をしっかりと管理することが、精神疾患の予防にも繋がるのです。体の病気がある方は、生活習慣を改善し、必要に応じて薬を使うことで、病状をしっかりコントロールするようにして下さい。
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