女性の心の病気
今回は女性の心の病気について解説します。
女性と男性の違いは身体だけではありません。心の状態においても女性と男性は異なります。心の病気、精神疾患でも、女性と男性には違いがあることが分かっています。
いくつかの精神疾患は女性に多いことが知られています。統計を調べると、うつ病、不安症(パニック障害、社交不安障害などの総称)、摂食障害(拒食症、食べ吐き、神経性無食欲症など)は女性に多く見られることが分かります。
また、女性に特有の問題もあります。女性は、ホルモンの変化の時期、たとえば、妊娠中や妊娠後(周産期)、生理前(月経前)、更年期(50歳前後、閉経前後)などで、うつ病の症状を経験しやすくなります。
その他、甲状腺の病気や自己免疫疾患などがうつ病などの心の病気を引き起こすことが知られていますが、こうした甲状腺の病気や自己免疫疾患は女性に多い病気です。
一方で、統合失調症や双極性障害などの精神疾患に関しては、病気になる割合は女性も男性も同じくらいで、性別の差はありません。
女性に特有の心の病気だとしても、一般的な治療は有効です。多くの場合は、SSRIという薬を使うことが多いです。これは、セロトニンという神経伝達物質、ホルモンに似た役割の物質を増やすことで、気持ちを安定させる薬です。
SSRIには依存性がない(精神依存を形成しない)ので、病状が安定したら少しずつ減らして中止することができます。薬の依存性が心配な方には向いている薬です。
SSRIのデメリットは、毎日使わないと効果が出ないこと、数週間使い続けないと効果が出ないことです。辛抱強く続けないと効果が無いので、焦らないことが大切になります。
SSRIには眠気や吐き気などの副作用もありますが、多くは1週間以内に軽快します。最初の1週間の副作用を軽減するため、最初は少ない量で始めて、数週間かけて有効量まで増やす方法が一般的です。
心の不調を抱えながら生活するのは大変です。心が不安定だと、仕事や人間関係、家族関係に問題が起きやすくなります。心を安定させると、生活が安定します。心の問題を抱える女性は、心療内科・精神科への相談をおすすめします。
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